心霊usa



イリカイマリーナの恐怖

 ずっと以前に日本からの旅行者という話を書きましたが、覚えているでしょうか 
 今回は、その話にあまりに似ていて、「これは本物だ!!」
 そう確信してしまえるような出来事が起こったのです。

 大学の頃の友人の田中という男から15年ぶりに連絡をもらったのは、11月はじめでした。
 田中  「ホノルルマラソンに出場したいんだけど、宿がどこもいっぱいで取れないんだ。
       どこか君の顔でとってもらえないかな。」
  私   「今頃、ホノルルマラソンの頃の宿を探すなんて、いくら俺でも部質的にないものは、どうしようもない
        だろう。一応知り合いのところをあたってみるから、2~3日時間をくれ。そういえば航空券はどうな        んだ ?」
 田中   「飛行機の予約は取れてるんだ。」

 そういうことで、知り合いに電話しまっくって、とうとう見つけたのが、コンドミニアムの部屋を日本の友人が持っていて、その友人は最近ヨーロッパに凝っていて、ぜんぜんその部屋は使われていないと言うことで、聞いてもらったところ、貸してもらえることになった。

 すぐに日本に電話して、友人の田中も大変喜び、持つものは友だなんて言われて、いい気になっていました。
 さて12月に入り、ホノルルマラソンの行われる週の月曜日、空港に15年ぶりに会う田中を迎えにいきました。
 田中の頭を見て、その髪の薄さで、15年の重さを知った私でした。

  私  「わー、髪の毛が淋しくなっちゃたんだねー。」
 田中  「サラリーマンで苦労の連続の結果がこれですよ。」
  私  「イリカイマリーナと言う、イリカイホテルの日航が作ったコンドミニアムの部屋が取れたんだ。」
 
 早速ワイキキまで車で送って、一緒にマリーナの部屋にいきました。
 そこは、前に友達が泊まった部屋と違い、海に面した1ベッドルームのこぎれいな部屋で、田中も今頃あいているなら汚くても仕様がないと覚悟してきたのが、オーシャンビューで家具も高級な家具がそろっていて、その喜びようは、ここに書いても書ききれないほどでした。

 その日は、私は忙しくて時間が取れなかったので、田中がどうしても飯をおごらせろと聞かないので、
次の日の夕方に約束をして私は次のアポイントに向かいました。
 玄関を出て、廊下を歩いていたら、なぜか急に寒気がして、「まさか?」と一瞬思ったのはよく覚えています。

 次の夕方、田中をたずねて、隣のイリカイホテルの鉄板焼きを食べに行きました。
 田中は、元気な顔をしていたので、「気のせいだった」ということで、あえて彼には話しませんでした。
 しかし田中というのは昔から鈍いやつで、霊的なものは一切信じない男だったのです。

 田中  「そういえば、昨日の夜に金縛りの初体験をしたんだよ。」
  私   「それは怖かったろう。」
 田中  「怖い分けないだろう。体が寝ていて、頭が起きてる状態のときに起こるんだぜ。お前幽霊が襲ってくる      とでも思ってるのか?」
  
 そのように言われたので、ほっておくことにしました。

 それから3日後です。
 明日がマラソンと言う日に彼から電話が来て、暗い声で、「来てくれないか?」
 そう頼まれ、彼のところに行ってみると、彼は目に隈を作って、うつろな顔ででてきたのです。

  私  「どうしたんだ?ずいぶん疲れた顔をしてるな?」
 田中  「あの次の日も金縛りにあって、天井を見ると、誰かが天井から出てこようとしてるんだ。
       そして次の日もその男は、前の日よりも天井から出ている部分が多くなって、昨日の晩は
       とうとう、完全に現れたと思ったら、うえからゆっくりと俺に向かって降ってきたんだ。」
  私   「それは、たいへんだったな。俺なら怖くて泣いちまったな。」
 田中  「その男は、俺の目の前まで降りてくると、手を伸ばして俺の首に手をかけたんだ。」
  私   「まさか   首を絞められたのか?」
 田中   「いや、手をかけて、俺がもう頃それるって思ったら、二夜って笑って消えていった。」
  私   「今日はやばいな。」
 田中   「どうせ明日は夜中に出かけて、マラソンだから、大丈夫だと思うんだけど、夜10時ごろ来てくれない       かな。」
 
 そういう頼みだったので、他人の恐怖の話はどうしても聞きたい私は、いくと返事をして、10時ではなく1時にいきました。

 そして、そこには、目を真っ赤にはらした田中が、遅れても来た私に何度もありがとうを繰り返したのでした。

 もちろん男は現れて、しっかり首を絞められて、哀れな田中は気を失ったようです。
 そんな体験をしながら、送れちゃうとマラソンのスターと地点のカピオラニパークに走っていった田中は、やっぱり只者じゃないと思って見送った私でした。

 「今回現れた幽霊と、もう7年前に現れた幽霊は、同じ男だった。そう確信できたのは私だけでしょうか?」



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